タイミング法や人工授精を4回から6回以上行っても原因が分からずに妊娠しない患者様は、どうして妊娠できないのかが分からないので不安になります。
必ず妊娠できない理由が存在するのですが、一般不妊症検査で全てのことが分かるのではないので、妊娠しない理由を誰に尋ねても分かりません。
治療を何周期試みても妊娠しない患者様に確実に言えることは受精卵ができた証拠がないということです。原因として多い順に3つ挙げて説明します。
1. 卵管のピックアップ障害
卵を採りだして精子と出会わせると95%程度の人は授精するので、大部分の人は、卵管の中で精子と卵子が出会っていないということになります。すなわち卵管采が卵を拾い上げていないということです。しかし、どんな卵管の検査を受けても卵管の通過性は分かりますが、ピックアップ障害については分かりません。あくまで精子は必ず卵に出会いにいくような周期を重ねてその結果で推測するしかありません。仮に妊娠すればピックアップ障害はないと言えます。体外受精の場合、この問題は関係ありません。
2. 卵の質が悪い
卵の質が悪くて赤ちゃんにならないと言うことが20~30%程度の人に起こります(女性の年齢が35歳を超えると卵の質が悪い人が多くなります)。卵が良いか悪いかは超音波で見ても、AMHやFSHなどのホルモンを測っても分かりません。妊娠しても流産に終われば卵の質が疑われます。健康な赤ちゃんになって初めて良好な卵であったと言えます。卵を取り出して受精させ、受精卵の発育を見れば詳しく評価することができます。
3. 受精障害
精液検査が正常でも卵子に付着しない、精子の受精障害が5%程度と少ないですが起こります。精子の検査データが良くてもその能力までは分かりません。卵を取り出して精子と出会わせてみてみれば、正常受精するかが確認できます。
以上のように通常の検査や治療法では妊娠という結果が出なければ分からないことが多すぎます。治療のステップアップをすれば、1. 3.は容易に解決でき、2.についても良質の卵子が出てくるような効率のの良い周期になるよう最善を尽くせます。