人工授精とは、射精された精液中から運動性の高い精子を集めて子宮内に注入する手技をいいます。この方法は、主に、運動精子数が少ない、あるいは子宮頸管粘液が少ないなどの理由でヒューナーテストが不良な症例、かつ抗精子抗体が陰性の症例に対して行っています。タイミング法と体外受精との中間に位置する不妊治療として、原因不明の不妊症例に対しても行われています。
当院では、人工授精を行う際、自然周期で行う方法と、卵巣刺激を併用する方法とがあります。卵の質の問題が考えられる場合は、卵巣刺激を行って複数排卵させるようにします。また、洗浄濃縮し運動率が高まった精子でも、子宮内では能力を長く保てない可能性があるため、いずれの場合も排卵のタイミングを精子注入に合わせるために、点鼻薬【商品名ナファレリール(1本11,000円):脳下垂体からLHを出させる】を使って排卵を促し、午前中に人工授精を行い、お昼前後に排卵するようにスケジュールします。人工授精当日(午前中)に排卵していても、妊娠率に差はありません。
当院における人工授精での妊娠率は、1周期あたり8.1%で、人工授精を受けられる患者様の20~30%が妊娠されます。また、人工授精で妊娠された方の80%は4回目までに妊娠しています。