ここではタイミング法や人工授精で妊娠するために必要な条件を3つの因子に分けて説明します。
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頸管因子
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卵管因子
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卵の質
1. 頸管因子・・・ヒューナーテストで診断
頸管因子に影響を与えるものとしては、精子側の問題(濃度や運動率)と頸管粘液の問題(量や粘稠性)があります。まれに女性側の抗精子抗体(精子を動かなくしてしまう)が問題となる場合もあります。精子が子宮に入っていけているかを見るのが、ヒューナーテストです。性交後24時間以内に、頸管粘液を顕微鏡で見て、泳いでいる精子の数を評価します(8~10匹以上で正常)。ヒューナーテストが不良であれば、人工授精の適応となります。精子が非常に少ない場合は、顕微授精をすすめます。
2. 卵管因子・・・通水検査で診断
卵管の通りが悪い場合は、卵を子宮まで輸送できません。卵管が通っているかどうかは、通水検査で簡単に検査することができます。ただし、卵管(采)が卵をピックアップしているかを見る検査はありません。よって、最終的に妊娠という結果がなければ、卵管が働いているかは評価できないのです。タイミングや人工授精は半年以内を目安とするのは、このためです。
3. 卵の質・・・体外受精によって診断
卵の質を評価するには、最終的には体外受精によって実際の卵子の発育や胚盤胞到達率を見るしかありません。体外受精は治療であり診断でもあるということです。一般不妊治療は、排卵誘発により2~3個排卵させることで、卵の質を数で補おうとします。ただし妊娠しない理由が本当に卵の質なのか、卵管の問題なのかはわからないままであり、卵管が働いていない場合は、何個排卵させても妊娠はしません。また、卵の質が悪い場合は、更に多くの卵子を利用する体外受精が最も有効となります。よって、通常は4周期程度を目安に、体外受精へステップアップをすすめます。
これ以外の因子には、排卵因子や子宮因子などがあります。
・排卵因子・・・PCO(多嚢胞性卵巣)や下垂体性無月経など、排卵がない場合です。まずは必要最小限の手助けで排卵周期を作り、表の通り進めます。
・子宮因子・・・子宮筋腫や子宮奇形などです。紹介先の病院で画像診断などを行い、手術の必要性を検討します。
複数の因子が絡み合っている場合も少なくなく、一般不妊治療では原因が明らかとなりにくいため、一般不妊治療は半年を目安に、ステップアップをすすめることが妊娠への近道と考えられます。
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