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2016年9月 第34回日本受精着床学会より

学会報告
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当院院長 岡が、2016年9月15日(木)に軽井沢にて行われた第34回日本受精着床学会にて講演を行いました。 講演の内容を以下にご紹介します。 1.多嚢胞卵巣(PCO)で反復着床障害の患者の当院での救済法 当院で2015年1月から2016年1月までの約1年間に、全胚盤胞をガラス化保存し、融解胚移植を受けたPCO患者37人(平均年齢36.4歳)についてコンピューターデータベースより後方視的に検討しました。 37人中、出産あるいは継続妊娠は29人(78.4%)でした。内訳はHRT(ホルモン補充)周期に移植をして、24人(82.8%)(MD双胎1例)、クロミッド+HMG排卵周期移植が5人(17.2%

ヒトの受精卵で遺伝子編集(中国)

院長記事
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最近ヒトの多精子受精卵を使って遺伝子編集を行った論文が中国から2つ発表されました。 多精子受精卵は、卵子に精子が2匹以上入った受精卵で、受精5日後までに発育を停止し、人になることはありません。今回の論文ではこれらを用いて遺伝子編集の実験が行われました。 遺伝子を変える方法としては、従来の交配と遺伝子組み換えと遺伝子編集(ゲノム編集)があります。家畜や農作物の品種改良、たとえばおいしい米やブドウなど食品としてすでに市場に流通しているものや競馬のサラブレッドなどは、何世代にもわたって交配を繰り返し、大変な労力と時間を要します。遺伝子組み換えは短期に行えますが、遺伝子を目的に合ったものに変えられる確

ヒト受精卵で受精後13日間の体外培養に成功(イギリス)

院長記事
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ヒトの受精卵を体外で長く培養するのは従来から困難で、当院でも受精から7日目までの培養です。7日目胚盤胞を移植して、妊娠した方もいらっしゃいます。 受精卵は必要とする栄養も発達段階により変わってきますし、アンモニアなどの有害物質も代謝により増加します。したがってこれまでの体外での培養の記録は9日間(受精から8日目)でした。したがって、受精から13日間体外培養できるのは画期的なことです。なぜ自分ではない受精卵が免疫的に拒絶されずに着床するのかなどの、様々なことの解明が今後期待されます。

3人のDNAを持つ赤ちゃん(アメリカ)

院長記事
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ヒトの細胞はヒト核DNAとは異なった環状DNAを持つミトコンドリアと共存し、ミトコンドリアが生存するのに必要なものをヒトの細胞が提供し、ミトコンドリアがヒトの細胞の生存に必要なエネルギーを作っています。ヒトの細胞が分裂するときはミトコンドリアも数を増やし協調して生存しています。ミトコンドリアは原始生物のようなもので変異を起こしやすく、ヒトでは厳密に母親のみから子供に受け継がれていきます。このミトコンドリアDNAの変異から人のルーツが明らかになりました。ミトコンドリア異常によりミトコンドリア病という神経や筋肉の病気を引き起こす病気があります。また、このミトコンドリアが老化に伴い、機能障害を起こす

染色体数が正常な胚盤胞の割合について

基礎医学
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(1) 正常な数の染色体をもつ胚盤胞の年齢別割合 (図1) アメリカのリプロジェネティックス社という遺伝情報診断センターの2012年までの約1万症例の約6万個の胚盤胞の染色体の異数性の検査結果を示します。体外受精周期に得られた受精卵を胚盤胞まで育てて胎盤になる細胞の一部を採り出し、アレイCGH(染色体の数の異常を調べる検査)という方法で染色体の異数性検査を行なったものです。胚盤胞はガラス化保存しておき、数的に正常な染色体の胚盤胞のみ融解移植します。 図1より、30代前半ではおおよそ胚盤胞の2個に1個の染色体が数的に正常であるのに、38歳を超えると3個に1個、41歳を超えると5個に1個が正常であ

着床期のウィンドウについて

論文紹介
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ERAという、着床期ウィンドウの分子学的診断(子宮内膜の胚受容能の検査)方法の有用性について論じた報告です。 What a difference two days make: “personalized” embryo transfer (pET) paradigm: A case report and pilot study M.Ruiz-Alonso, N.Galindo, A.Pellicer, and C.Simon, Valencia, Spain Hum Reprod.2014 Jun; 29(6):1244-1247 「2日の違いは何をもたらすか:個別的胚移植(pET)の方法:症

採卵前のトリガーに関する論文②

論文紹介
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採卵前のトリガーとしてGnRHアゴニストとHCG投与の両方を使うことにより卵子の成熟率が改善する、という報告です。 Dual trigger with gonadotropin-releasing hormone agonist and standard dose human chorionic gonadotropin to improve oocyte maturity rates Griffin D, Feinn R, Engmann L, Nulsen J, Budinetz T, Benadiva C. Fertil Steril. 2014 Aug; 102(2):405-9 「G

採卵前のトリガーに関する論文①

論文紹介
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HCG注射のトリガーより点鼻スプレー(GnRHアゴニスト;海外では皮下注射)のトリガーが良好胚をもたらし、出産に至った症例の治療法とレビューを紹介します。 Empty follicle syndrome: successful treatment in a recurrent case and review of the literature R.Beck-Fruchter, A.Weiss,M. Lavee, Y. Geslevich, and E. Shale Israel Hum Reprod. 1357-1367, 2012 「空卵胞症候群:繰り返しARTを失敗したある症例で妊娠、出産