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治療詳細

treatment details

治療に関する用語説明

目次

着床の窓とは何ですか?

子宮内膜には受精卵を受け入れられる時期があると考えられています。それを着床の窓と呼び、排卵してから5日目の内膜が移植に最適であると考えられています。

反復着床障害など何度移植しても着床しない症例があり、従来は受精卵に異常があるから着床しないと考えられてきました。しかしそれらの患者さんの一部に着床の窓がずれていると考えられる症例があり、当院では安価な病理組織学的な内膜検査(子宮内膜日付診)を行い、移植日を調節して移植を行い妊娠出産に導いてきました。治療経験上、着床の窓が2日ずれていると全く着床しない傾向があると考えています。

近年、ERA(子宮内膜胚受容能検査)が開発され、高額な検査であるけれど、国内外で盛んに行われています。ERAは分子生物学的検査ですが、何を調べているか公表されておらず、その有効性はまだ証明されていません。その理由として考えられるのは、反復着床障害のほとんどが、染色体異常などの胚の異常によるものだからです。そのことを示すように、最近染色体正常胚盤胞を3回移植すると95%の患者さんが出産したという報告がありました。ERA結果が問題なくて、繰り返し着床しなかった症例に、他の検査(子宮内膜日付診)をし、着床の窓の遅れが判明し、2日遅らせて移植して、妊娠したということもあります。したがってERA結果を盲信すると、逆に同じ失敗を繰り返すことになり、危険であると考えられます。

デュアルトリガーとは何ですか?

以前は、体外受精において、採卵への引き金(トリガー)はHCG5000単位あるいはHCG10000単位の皮下注射(より以前は筋肉注射)で行っていました。本来自然周期での排卵は下垂体からのLH(黄体化ホルモン)の急激な放出で起こります。それをLHサージと呼び、GnRHアゴニスト(LHやFSHを下垂体から放出させるホルモンと同じ作用をするホルモン)の点鼻薬で起こすことができます。

したがって排卵を促す方法(採卵への引き金と同じ)には2種類あり、HCGの皮下注かGnRHアゴニストの点鼻投与かです。患者さんによっては、どちらかの引き金が効きにくい人がいます、引き金が十分効いてないとあまり卵が採れなかったり、未熟が多かったりします。そういうことを避けるために2種類の引き金を使用することをデュアルトリガーと呼びます。

子宮内フローラとは何ですか?

腸内の細菌叢は腸内フローラと呼ばれますが、子宮内の細菌叢のことを子宮内フローラと言います。

乳酸桿菌(ラクトバチルス)はヒトの腸内に生息する腸内細菌である乳酸菌の一種で、約30種類ほど知られており、ヒトの免疫の活性化や腸内細菌叢のバランスの改善や整腸などヒトに有益に働いています。腸内細菌はヒトの体内に約1000種類、100兆個から1000兆個あると言われており、ヒトの健康に大きくかかわっています。

反復着床障害や反復流産症例に対して子宮内の乳酸桿菌を増やす治療が最近国外、国内ともに行われ、有効であると報告されています。

近年、子宮内は無菌ではないことが分かってきて、子宮内膜炎を起こす悪玉菌がいるか検査できるようになりました。子宮内の乳酸桿菌を増やし、子宮内を弱酸性にし、内膜炎を起こす細菌などの悪玉菌をなくす治療が行われるようになってきています。子宮内に悪玉菌がいて子宮内膜に免疫反応が起こると、本来免疫的に自分ではない受精卵が免疫的に守られず拒絶されやすくなり、着床しなかったり、妊娠しても流産し易くなったりすると考えられています。治療法としては、乳酸桿菌を膣内に投与する方法とラクトフェリン(腸溶錠が推奨)を内服し、子宮内に自分に合った乳酸桿菌を増やすというやり方があります。

調節卵巣刺激法とは何ですか?

10個程度の成熟卵子の獲得を目指して、卵巣を刺激します。少ない採卵回数で、妊娠出産を達成するためにはとても重要です。大きく分けて3種類の調節卵巣刺激法があり、排卵の抑制方法が異なります。

GnRHアゴニスト法:点鼻薬を使用して、排卵を抑制します。点鼻薬使用期間の長さの違いにより2種類あります。
ロング法:月経開始1週間前から点鼻薬を使用し、排卵への引き金投与の日まで連日使用します。
ショート法:月経開始2日目から同様に使用します。
GnRHアンタゴニスト法:GnRHアンタゴニストの皮下注射を行い、排卵を抑制します。
卵巣刺激周期の月経開始8日目頃の卵胞計が1.4㎝を超えたら、アンタゴニストの皮下注を開始し、排卵の引き金投与の前日まで連日投与します。
PPOS法(黄体フィードバック法):黄体ホルモンを内服し排卵を抑制します。
月経開始3日目から黄体ホルモンを排卵の引き金投与の日まで内服します。黄体ホルモンを内服するので、新鮮胚移植は行えません。
卵巣刺激の方法
FSHやHMGの排卵誘発剤を、月経開始3日目から8日間程度連日、排卵の引き金投与の前日まで注射します。
排卵の引き金(トリガー)
GnRHアゴニストの点鼻やHCG注射で行います。採卵の2日前の夜に投与します。

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