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全ての胚盤胞を着床させるには

基礎医学

ヒト受精卵の着床は不明な点が多い。なぜ免疫的に自分ではないものが拒絶されずに着床し、育つのか。
その理由としては以前から、卵胞ホルモンや黄体ホルモンの存在や子宮内膜が免疫的拒絶を抑制しているためと説明されています。しかし受精卵は子宮内膜のない卵管や子宮頸管や腹膜にも着床し、発育する症例があります。したがって子宮内膜の存在は必須ではないのかもしれません。しかし、日頃臨床で経験し苦慮するのは、子宮内膜が薄く何度移植しても着床しない方です。卵胞ホルモンや黄体ホルモンの血中濃度をいくら上げても内膜が厚くならず着床しないのです。
一方、免疫的に自分ではない癌細胞・癌組織は免疫的拒絶を免れ、発育します。その理由のひとつとして、Tリンパ球の免疫抑制スイッチであるPD-1のスイッチを癌細胞が押しているためといわれています。受精卵も拒絶されず着床するためには、おそらくTリンパ球の免疫抑制スイッチを押しているはずです。しかし内膜が薄いとその機能が発動し難かったり、移植される胚盤胞がBCあるいはCCだと免疫抑制スイッチを押しにくかったりするのだと考えます。しかしヒトによっては、内膜がないところにも着床するので、何らかの理由でTリンパ球の免疫抑制スイッチが入ったのだと考えます。内膜の厚さは必須ではありません。何らかの処置をして、Tリンパ球の免疫抑制スイッチを押してあげれば、内膜の薄い人も胚盤胞がBCやCCしかできない人も救えると考えます。免疫的抑制が不十分だと着床しても流産となる可能性があります。
何らかの処置をして現在着床率がほとんど100%となっています。子宮内膜のスクラッチを行うとより効果が高い可能性があります。反復着床障害の患者さんは是非試してください。