2019年のヨーロッパ生殖医学会の口演から、凍結融解胚移植周期について考察しました。
以下に7つの口演の内容を簡単にまとめます。

口演No.21;フランス

人工(ホルモン補充)周期は8,139周期、自然排卵周期は3,126周期、刺激排卵周期は3,156周期でした。生児出産率は、それぞれ16.9%、18.8%、19.3%であり、有意に刺激周期で高かった。流産率は全体で31.5%、刺激排卵周期で23.6%で一番低かった。

口演No.68;中国

調節刺激採卵周期の後に、続けて融解胚移植を行うか、2周期以上開けて行うかの比較。対象は824名の女性。継続妊娠率は、前者が49.3%、後者が41.5%で、迅速移植群が有意に高かった。

口演No.146;スペイン

卵子提供プログラムにおける人工周期の凍結融解胚移植周期の1200人を対象としての前方視的研究で、血中黄体ホルモンが9.2ng/ml未満では継続妊娠率が20%低いことが確認されている。血中黄体ホルモンを上昇させ生児出産率を改善できるのではないか。

口演No.175;イスラエル

無排卵症あるいは稀発月経と診断された女性を対象に86周期にはレトロゾールを、127周期にはHRTを試みた。胎児心拍を指標とした臨床的妊娠率はレトロゾール群において有意に高く、補正リスク比は1.98という結果が得られた。流産率および多胎妊娠率は2群間で有意差は認められなかった。

口演No.260;イタリア

1年間で149名の卵子の提供を受けたレシピエントは1日2回水溶性のプロゲステロン(P)25mgの投与を受けた67名と1日3回の黄体ホルモン膣錠(PVT) 200mgの投与を受けた82名の患者で臨床結果を比較した。

着床率と継続妊娠率はそれぞれPVT群は35.2%と46.3%、P皮下投与群においては55.2%と67.2%で、これら2群間で統計的有意差が認められた。流産率はP皮下投与群においては5.9%、PVT群においては18.4%と有意な差異が認められた。

口演No.298;スェーデン

より高い着床率が得られることや流産を減らすことにより、凍結融解胚移植を行う自然周期に黄体ホルモンを追加投与することは生児出産率が改善する

今回の研究に参加したものは500名であった。半数はプロゲステロンの補充を受けた。生児出産は、プロゲステロン投与群においては82名(32.8%)が、コントロール群においては56名(23.6%)が生児出産に至り2群間で統計的差異が認められた。流産率はそれぞれ9名(9.9%)と15名(21.7%)で2群間で統計的差異は認められなかった。

口演No.173;スペイン

血中プロゲステロンレベルが9.2ng/mL未満の患者においては211名の卵子提供のレシピエントにおいて継続妊娠率は20%低下するという結果が得られた。そこで、今回は一般の患者においても適用することができるか否か検討した。

1166名の一般患者を対象に研究した。その結果、継続妊娠率は全体で53.1%であった。胚移植日の血中のプロゲステロン濃度が8.8ng/mL未満の女性においてはそれ以上の女性と比較し継続妊娠率は有意に低下し、それぞれ39.8%と58.0%であった。

感想;貴重な凍結胚盤胞は、自然あるいは刺激した排卵周期にホルモン補充をして融解移植するのがよい。人工(ホルモン補充)周期では、血中P4が9ng/ml以上あることが大切であると考える。