第37回受精着床学会において、当院院長が口頭発表を行いましたので、内容を報告します。

「D-6の④⑤⑥(拡大から脱出)胚盤胞とD-5胚盤胞の凍結融解移植の臨床成績の比較」

背景;最近の海外からの報告ではD-6の④⑤⑥胚盤胞はD-5の④⑤⑥胚盤胞に比べて凍結融解移植の臨床成績が良くないと報告されている。2003年までのHARTクリニックでは、D-6の④⑤⑥胚盤胞の融解後生存率が悪く、AS(人工的収縮)を行い凍結するようになって改善した経験がある。

目的;当院でのD-6の④⑤⑥胚盤胞とD-5の④⑤⑥胚盤胞の凍結融解胚移植の臨床成績を2017年1月10日から2018年6月30日までの期間で臨床成績データを後方視的に比較し考察した。胚盤胞はBC,CB,CCすべてを含み、年齢も区別はされていない。

結果;全体的にはD-6とD-5の胚盤胞凍結融解移植のGS(胎嚢)確認による妊娠率はそれぞれ45.6%と59.8%、継続妊娠率は38.6%と50.8%、流産率は26.9%と18.7%であった。⑥⑤④胚盤胞別に集計すると、D-6で⑥胚盤胞を移植して、妊娠率は73.3%、継続妊娠率60.0%、流産率18.2%であった。D-5での⑥胚盤胞はなかった。D-6とD-5の⑤胚盤胞を移植した結果はそれぞれ、妊娠率60.5%と59.7%、継続妊娠率52.6%と54.8%、流産率26.1%と13.5%であった。D-6とD-5の④胚盤胞を移植した結果はそれぞれ、妊娠率29.5%と59.0%、継続妊娠率24.6%と48.7%、流産率33.3%と21.7%であった。

考察;D-6とD-5の④⑤⑥胚盤胞全体ではD-6④⑤⑥胚盤胞は有意にD-5胚盤胞に比較すると妊娠率、継続妊娠率が低く、流産率が高い。D-6のほうが有意に臨床成績が悪かった。⑥⑤④胚盤胞を個別に比較すると、D-6の⑥胚盤胞はD-5と比較できないが十分高い継続妊娠率が出ており、流産率も高くない。D-6の⑤胚盤胞は妊娠率、継続妊娠率がD-5のものと同等である。D-6の⑤胚盤胞の流産率がやや高くなり卵の質の低下が考えられる。
D-6の④胚盤胞は、明らかにD-5の妊娠率、継続妊娠率より低く、流産率も高い。以上のことからD-6の④胚盤胞はD-5の④胚盤胞より質が悪く、このことがD-6の④⑤⑥胚盤胞の臨床成績をD-5の④⑤⑥胚盤胞の臨床成績より低くしている原因と考える。

解説;海外での⑤や⑥胚盤胞の臨床成績が良くない背景は、凍結法の問題が大きいと考えられます。拡張した胚盤胞であることは元気に成長が進んでいることを示しており、本来的には妊娠の可能性は高いです。本検討結果から、D-6胚盤胞ではD-5胚盤胞より流産率はやや上がりますが、⑤以上であればD-5胚盤胞と同等の妊娠率が期待できることがわかりました。

(参考)グレードによる成績の比較(2017年1月10日から2018年6月30日までの凍結胚移植の成績、③以上の胚移植全てを含む)