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20687人の女性の、全胚盤胞凍結法による初回の体外受精周期の出産率(採卵個数が多いほど妊娠率も高い)

論文紹介

“Live birth rates in the first complete IVF cycle among 20687 women using a freez-all strategy”
「20687人の女性の、全胚凍結法による初回の完全なIVF周期での妊娠率」

Human Reproduction, 2018;33:924-929

【要旨】
疑問:全胚凍結を用いた場合、1回のIVF周期でどのくらいの挙児の確率があるのか?
答え:上記で挙児を得る確立は50.74%である。
研究デザインと期間:2007年1月から2016年3月までに、中国で全胚凍結法を用いて1回目のIVFを行った20687人の女性を対象とした、後方視的なコホート研究。
主な結果:出生率は、全体で50.74%であった。年齢別に見ると、31歳以下では63.81%、40歳以上では4.71%であった。採卵数が25個まで、採卵数が増えるほど妊娠率が上昇した。
研究の限界:本研究はコントロールを置かない後方視的研究である。
発見による示唆:本研究結果により、1回の全胚盤胞凍結により50.74%が妊娠することが示された。さらに、LBR(生産率)は取れた卵子の数と正に相関していた。

【解説】
2007年1月から2016年3月までに、全胚盤胞凍結法を用いて1回目の体外受精を行った20687人の女性が対象です。1回の採卵で得られる胚盤胞を研究期間の間に全て戻しきった人を対象に調査し、妊娠率を出しています。
全体の50.74%が初回の体外受精周期で出産し、31歳以下では63.81%の出産率でした。

TableⅡ

TableⅡ; 採卵数と出産率の関係を示した表です。左端に採卵数、右端に出産率が示されています。単純に採卵数が増えると、出産率が上がることがわかります。

Figure 2; 上の表を年齢別に分けたものです。横軸が採卵数、縦軸が出産率を表し、年齢別に色分けしています。

40歳以下では、10個を超えて採卵すると、50%を超える出産率が期待できます。40歳以上では、10個を超えて採卵すると、30%近い出産率が期待できます。

【まとめ】
多く採卵するほど卵の質が悪くなるのではないか、と考える人も多いですが、そうではないことがとても明瞭に示された論文です。このような大規模なデータを集められるのは中国ならではです。また、この論文の評価すべき点は、すべての胚を凍結してから移植しており、1回の採卵で得られる卵での妊娠率を累積して検討している点です。さらに、年齢が上がるほど、1回で多くの卵子を取らなければ妊娠しづらいことも示されています。