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2017年のヨーロッパ生殖医学会(ESHRE)の着床前診断(PGS)についての発表とアメリカのReprogenetics社の着床前診断(PGS)のデータについて

基礎医学

胚盤胞の⑥(hatched)すなわち透明帯という殻から完全脱出した胚盤胞でPGSを行った患者の着床率は24%と低かった。アメリカでのPGSの成績では着床率54%、流産率10%であった。いずれも満足できる成績ではないと考えます。参考までに、東京HARTクリニックの成績ではPGSをしなくても39歳以下であれば、着床率55%、流産率24%です。海外ではPGSをすると着床率は上がらないが流産が減るとされています。

考察
胚盤胞ガラス化保存の開発をしていた2000年頃ころ、現在は100%である胞胚腔が拡大した胚盤胞の生存率は、当時は特に6日目の拡大胚盤胞④や脱出胚盤胞⑤、⑥では70%程度と低く、改良が必要でした。すなわち胚盤胞がガラス化によるダメージを受けていたのです。人工的に胞胚腔を収縮させて(AS)ガラス化させるようになって、融解後の生存率は100%になりました。PGSは拡大した胚盤胞の検査をし、ガラス化保存するので、ASをしないと胞胚腔の水が結晶化して胚がダメージを受け易くなり、着床率が下がり、流産率が上がります。HARTクリニックのデータでは、ガラス化保存すると透明帯が固くなると考えられ、レーザーで透明帯に大きく穴を開けて(LAH)移植しないと着床率が下がるので、当院ではLAHを全例に行っています。さらに、生検した胚盤胞なので免疫抑制して移植しないと拒絶され易く、着床しにくいと考えます。したがってASを確実に行う、LAHを行い大きく開口する、免疫抑制を確実に行う、を適応すればほとんど流産のない80%を超える出産率の治療が可能だと考えます。