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凍結時に⑥(脱出)胚盤胞となっている凍結胚盤胞融解移植の成績は本当に低いのか

基礎医学

【背景】
ガラス化胚盤胞の融解移植において採卵から6日目の胚盤胞の④⑤⑥の成績は良くない、あるいは特に⑥が良くないと海外では報告されている。海外ではPGS(着床前診断)を行っており、透明帯から脱出した栄養外胚葉の細胞を生検するため採卵から6日目の④⑤⑥で生検することが多くなると考えられる。2003年までは、HARTクリニックでも6日目の④⑤⑥胚盤胞の融解移植は成績が非常に悪く、胞胚腔のAS(人工的収縮)を行い、胞胚腔が完全に収縮してから超急速ガラス化法を行うようになって、臨床成績が改善した経験がある。
【目的】
2017年1月10日から2018年6月30日までの1年半の期間に、⑥すなわち脱出胚盤胞になっている症例のガラス化胚盤胞融解移植の臨床成績を検討し、本当に臨床成績が良くないのか考察した。
【結果】
融解移植周期は24周期、移植個数24個、平均年齢37.4歳、平均移植個数1.0個であった。胎嚢確認による妊娠率83.3%、継続妊娠率62.5%、流産率30.0%であった。
【考察】
⑥の胚盤胞は接着性が強く、取扱いが難しいけれども、ハンドリングを習熟し、最適な凍結法を用いればむしろ発達力の強い胚であり臨床成績は良くなると考えられる。すなわち、PGSを行った胚はASを行ったと同様になっており、胞胚腔が十分収縮しており、ガラス化保存に最適であると考えられる。したがって⑥の胚盤胞の凍結融解胚移植の成績が悪いのは、胚盤胞のガラス化が超急速に行われていないことや⑥の胚盤胞は接着性が強いため適正な位置に移植されていないことが考えられる。