流産や不妊と関係がある転座の形として相互転座とロバートソン転座があります。

相互転座は、異なる2本の染色体に切断が起こり、その切断された断片が交換され、他方に結合するものです。2本の染色体が交差した時に起こりやすいです。
通常は情報が入っている遺伝子(染色体)の位置が換わっただけなので、表現型(見た目や性質です)は変わりありません。このような人は均衡(きんこう)型転座保因者と呼ばれます。保因者は、見た目には何も異常がありませんが、子孫を残すために精子や卵子を作るときに、遺伝情報が過不足した染色体(不均衡)をもった精子や卵子ができる可能性があります。
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上図のように、相互転座のない人と子孫を残す場合、均衡型の人の配偶子(精子や卵子)は4種類できます、正常な人の配偶子と受精をするとやはり4とおりの子供の遺伝子ができます。1人は全く正常と1人は均衡型転座保因者で、産まれてきます。2人は不均衡型の転座となり、生きていくのに必要な遺伝子が欠けているので、流産します。確率的には1/2が生まれてくる計算になりますが、卵子の老化により染色体の不分離が加わるので、出産できる確率はさらに低くなります。

ロバートソン転座は2本の端部着糸型(短腕が非常に短い、この部分に生きるための遺伝情報はコードされていません)染色体の動原体付近で切断が起こり、2本の長腕どうしが結合してできます。13,14,15,21,22番染色体のいずれか同士で起き、通常短腕部分は消失します。したがって、下図のように、2本の染色体の長腕が動原体で結合したように見えます。
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ロバートソン転座は、厳密には短腕を失っていますが、均衡型(遺伝子に過不足がない)であり、保因者(ロバートソン転座を保有している人)の表現型(外見や性質)は正常です。しかし配偶子を作るときに不均衡が生じることがあり、不妊や流産の原因になります。
下図はロバートソン転座の例として、均衡型14/21ロバートソン転座の保因者の分離様式を示しています。14番と21番の染色体の2本の長腕が動原体で結合し、全体としては45本の染色体となっています。配偶子を作るときに、6種類の配偶子が形成される可能性があります。正常な人との間に、配偶子(精子と卵子)の染色体が一緒になって子供になるので、6種類の染色体をもった子供ができる可能性があります。しかし、14モノソミー、21モノソミーと転座型14トリソミーは致命的な異常ので、着床までに発育を止めるか流産に終わります。転座型21トリソミーは、染色体は46本なのですが、21番の長腕が1本多く、ダウン症として生まれてくる可能性があります。染色体正常と転座保因者は当然生まれてきます。
転座のある胚かどうかは、胚盤胞の形態では選別できません。また、相互転座でもロバートソン転座でも、均衡型の転座(保因者となるかどうか)はPGS(着床前スクリーニング)で診断することはできません。羊水検査であれば診断することは可能です。

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