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PGT-Aで異数性胚と診断されたため移植を拒否された胚を移送して移植した臨床成績

論文紹介

論文タイトル:IVF outcomes of embryos with abnormal PGT-A biopsy previously refused transfer: a prospective cohort study
著者:D H Barad, D F Albertini, E Molinari, N Gleicher
出典:Human Reproduction2022 May 30;37(6):1194-1206.
PMID: 35413106 DOI: 10.1093/humrep/deac063

【ポイント】この論文ではPGT-Aで異数性胚と診断され、元の施設で移植を拒否された胚を論文の施設に移送し、移植したらどのような結果になったかを報告しています。

【論文内容】
・69組のカップルが元の施設で移植を拒否された異数性胚444個をこの施設に移送
・これまでに50人が141個の胚を57回移植(1回の移植で1~5個の胚を移植)して、8人の生児を得た。うち1人は染色体の部分重複があり、新生児期に大動脈縮窄症の修復手術を必要とした。

《141個の胚の内訳》
(1)1~2か所のフルトリソミーあるいはフルモノソミー:76個
(2)1~2か所のモザイク:15個
(3)1~2か所の部分重複あるいは部分欠失:3個
(4)1~2か所の部分重複モザイクあるいは部分欠失モザイク:8個
(5)3か所以上の異数性あり:30個
(6)判定不能:9個

  妊娠 流産 生児獲得
(1) 5例 4例 1例
(2) 9例 5例 4例
(3) 1例 0例 1例
(4) 5例 3例 2例
(5) 2例 2例 0例
(6) 0例 0例 0例

【感想】
現在、PGDIS(Preimplantation Genetic Diagnosis International Society)の見解に基づきモザイク胚は慎重な遺伝カウンセリングのもとに移植が行われていますが、モザイクではない異数性と診断された胚の移植結果を報告した論文は興味深いものがあります。

(2)と(4)はモザイク胚であり、PGDISの見解に基づき移植されているカテゴリーのものですが、(1)と(3)のカテゴリーからも染色体正常児が1人ずつ生まれているところが本論文の注目点かと思います。新生児期に大動脈縮窄症の修復手術を必要とした部分重複のある児は、(4)の部分重複モザイクの症例でした。